先日、介護の専門誌「おはよう21」を読んでいると、メディアアーティストで研究者の落合陽一さんの記事が載っていて、ダイバーシティ(多様性)が重要といわれて久しいけど、インクルーシブ(包括的)の方が大切という話が興味深かった。
ダイバーシティというと、性別、人種、学歴、性格、宗教、障害、価値観などの多様性を受け入れて、差別がない処遇を実現していくことで、広く人材を活用していくという考えです。
この背景には少子高齢化による生産人口の減少に、人材確保の対応として多くの企業が取り組んでいます。
しかし言葉としてのダイバーシティは広く知られるようになったけど、実際には差別はなくならず、SNSでは自分と考えが違う人を攻撃する人の多さから、多様性の実現は難しいことに、ほとんどの人が気づいているのではないでしょうか。
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インクルーシブな社会の実現とは、一方の人だけが努力をするのではなく、お互いが少しずつ努力するという考えです。
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落合さんいわく、たとえば介護の分野ではVRなどのテクノロジーを使って当事者の視点を体験することで、努力で補える課題なのか、そうでない課題なのかが明確になり、人の努力で埋められる課題とテクノロジーに求められる課題にわけて考えることがインクルーシブな社会の実現につながるということ。
私は介護福祉士として認知症高齢者のケアに携わっていた経験があるのですが、当事者(利用者さん)の課題を職員間で共有することは、ほんとうに難しかったですね。
そのため仕事に対する職員のモチベーションの差はなかなか埋まらず、意欲をもって仕事をしている人から離職していくという悪循環が生まれることに。
テクノロジーは私たちの暮らしを大きく変化させている。こうして新しいテクノロジーが介護業界を変化させてくれることは大いに期待しています。
そしてテクノロジーによってインクルーシブな社会を実現するには、求められる技術や知識に対して柔軟で迅速に適応できる人材が重要。何歳になっても変化を恐れず、好奇心をもって未来につなげいきたいものです。