花や緑の植物と触れ合う時間は、穏やかな気分になり心身共にリラックスできますよね。
花好きな人は、お庭やベランダでガーデニングを楽しんだり、フラワーショップで購入した切り花を部屋に飾ったりして、暮らしの中に花が欠かせないという人もいます。
また、特別なことをしていなくても、通勤や通学の途中に見かける街の緑や休日に訪れる公園で植物を見ることが楽しみという人も少なくありません。
このように、人が植物に惹かれるのは、植物には人の心を癒す効果があるからです。
ここでは、植物療法とはいったいどういうものなのか、ご紹介いたします。
園芸療法とはいったい何?
園芸療法とは、自然、草花、野菜などの植物との関わることで、体と心の健康を回復させる治療方法のことをいいます。
私たち人間は、はるか昔は草原や林が広がる自然の中で生活し、農業で野菜を栽培して食生活にとり入れてきた歴史から、植物と深い関わりを持ちながら生きています。
園芸療法の始まりは、古代ギリシアの医師が患者に健康回復の方法として自然散策や農作業をすることを勧めたという記録が残っており、古くから植物が人の心身によい影響をもたらすことに気づいていました。
そして現在、植物療法の取り組みは欧米諸国やアジアなどに広まっています。
園芸療法の方法と効果
園芸療法の方法は、ガーデニング、農作業、自然や公園散策、森林浴など、さまざまな形があります。
植物を育てるだけでなく、植物とともに過ごし感じることや食品として採り利用することで、心と体を刺激することも園芸療法の方法です。
植物と関わることで心身にあたえる効果には、ストレスの軽減、意欲の回復をはじめとするメンタルヘルスの他に、認知機能の維持と向上、健康や社会的の向上による生活の質を高めることにつながります。
つまり、植物のある環境は五感が刺激を受けるうえに、栽培や利用することで心と体を動かし、人との輪も広がることで健康回復につながるという考えです。
日本で園芸療法が広まったのは 1990年から

日本では、明治時代以降に結核、精神疾患、知的障害の方たちに園芸療法がとり入れられてきました。
その後、1990年代に起きたバブル崩壊、花と庭園をテーマにした大阪花万博をきっかけにガーデニングブームが広がり、植物に心の癒しを求める人が増えた背景があります。
ガーデニングブームのころに、第二次世界大戦後のアメリカで戦闘で負傷した軍人のリハビリや職業訓練として注目されていたHorticultural Therapy(ホーティカルチュアル・セラピー)という植物療法を学んだ日本人の実践法がマスコミを通じて知られるようになると、日本各地で団体や学校が設立し園芸療法を学ぶ人も増えました。
そして現在は、医療や福祉、農産業、造園の分野で園芸療法は高い注目とニーズが集まっています。
医療
医療の分野では、ストレスの軽減や意欲の向上、身体機能の維持と回復などを目的に、ケアやリハビリの方法として園芸療法が行われています。
福祉
福祉の分野では、高齢者の認知症予防や進行の抑制、生活機能の維持と向上、うつ症状の緩和ケアやリハビリの方法として。障害者福祉では、生活や就労支援の目的に園芸療法が行われています。
農園芸・造園
農業や造園の分野では、健康増進や障害者の就労目的などに園芸療法の取り組みが行われています。
他にも、不登校や引きこもりの方が園芸を通して自信を回復したり、発達障害の方のコミュニケーション能力の改善に園芸療法が行われたりすることもあります。
また、ストレス社会といわれる現在は、日常的なストレスを軽減する方法としても園芸療法は注目されています。
まとめ
私はグループホームで認知症高齢者のケアに6年間携わってきましたが、このとき心身のケア方法に花を活用してきました。
たとえば、普段あまりお話しをしない人でも花を見ると自然に笑顔になり会話がはずみ、歩くことが億劫な人は公園の花を見にいこうと誘うと、元気に出かけるきっかけになったものでした。
植物の楽しみ方は人それぞれです。花を見ることが好きという人もいれば、植物をお世話することが好きだという人、野菜を作って食べる楽しみもありますよね。
植物の癒し効果とパワーを暮らしにとり入れて、健康生活をおくりましょう。
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