生理前の女性の体は、とてもデリケートです。そして、女性の多くがPMS(月経前症候群)による体の不調を経験しているといわれます。
PMSの症状は200種類以上もあるといわれますが、代表的なものとして「下腹の張り・痛み」があります。
ここでは、生理前の下腹の張り・痛みはなぜ起きるのか、原因と対策法についてご紹介していきます。
生理前のつらい不調を乗りきるためのヒントにしてくださいね。
生理前に下腹が張ってしまう原因
生理前に起こる下腹の張りは、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)が増えたことが原因といわれています。
女性ホルモンには、プロゲステロンとエストロゲン(卵胞ホルモン)の2種類があり、通常はこれらが交互に分泌量を高めて作用しています。
生理前の時期は、排卵日から次の生理が始まるまでの黄体期(約14日間)でプロゲステロンが優位に働く時期です。
プロゲステロンには、妊娠の維持と出産に向けて体を整える役割があり、その際に体の栄養と水分を体内に溜めこもうとするため、体がむくみやすくなってしまいます。
その影響を受けて腸もむくむうえに、生理前は受精卵が着床しやすいよう、子宮内膜が厚くなるため、子宮もふくれあがり下腹が張ってしまうのです。
生理前の便秘もプロゲステロンの影響
さらに、プロゲステロンの量が増えることで腸の働きが鈍くなり、便を押し出すための蠕動(ぜんどう)運動が弱くなることも下腹が張る要因とされます。
蠕動運動が弱くなった腸は、便秘を起こして腸内の悪玉菌が増え、悪玉菌が発生したガスによって下腹の張りが強くなるといわれます。
PMS(月経前症候群)の症状が現れる時期は、生理前の3日~10日前あたりが一般的です。
下腹の張りを解消する対策法
下腹の張りを解消するには、きゅうくつな下着で下腹を締めつけないことに注意して、腸の働きを高めることがポイントです。
対策法として、ウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの軽い運動を行うと、下腹部の筋肉を刺激して腸の蠕動運動を促し、お腹の張りの改善につながります。
また、ガスがたまることで発症する張りには、お腹をカイロや湯たんぽなどで温めて、「の」の字を書くように優しくマッサージすることもおすすめです。
下腹の張りを解消するポイント
- 軽い運動を行う
- お腹を温めてマッサージ
- 下着で締めつけない
生理前に下腹部痛が起きる原因
次は生理前の下腹部痛について解説します。
生理前に起こる下腹部痛は、「プロスタグランジン」というホルモンが、月経を押し出すために子宮を収縮させることで発生するといわれています。
このプロスタグランジンは、生理前~生理中に分泌するホルモンであり、生理痛と呼ばれる特有の腹痛は主にプロスタグランジンによるものです。
また、プロスタグランジンには痛みを強める作用もあることから、腹痛の他に頭痛、腰痛を引き起こすことも多くあります。
生理前の腹痛を改善する対策法
生理前の腹痛を解消するには、規則正しい生活リズムと、バランスのとれた食事が大切です。
また、お腹を冷やすことは症状の悪化につながるため、体を冷やさない服装や下着を選び、カイロを下腹部にあてて温める方法もおすすめです。
食事の面では、冷たい飲食物のとり過ぎに注意して、体が温まる食材を食べるようにしましょう。
つらい腹痛が続くときは市販の鎮痛解熱剤を使用する方法もありますが、これは一時的に症状を緩和させる手段です。
日常生活に影響が出る痛みが続くときは、婦人科を受診して専門に相談するようにしてください。
生理前の腹痛を改善するポイント
- 規則正しい生活を送る
- お腹を冷やさない
- 体を締めつけず温かい服装を選ぶ
- 貼るカイロで下腹を温める
- 栄養バランスのとれた食事
- 体を温める食材を選ぶ
>>がまんできない生理痛には鎮痛剤も検討しましょう↓
知っておきたいPMS以外にもある生理前の腹痛
生理前の腹部の激しい痛みは、PMS以外にも子宮内膜症など女性特有の病気や、消化器系の病気のサインである疑いも考えられます。
経験したことのない痛み、腹痛が起きる時期の変化、下痢など消化器系の症状が同時に出るなど、いつもと違う症状に気づいたときは、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
また、生理前の腹痛と思っていたら、妊娠の初期症状だったというケースもあるため、重大なサインを見逃さないよう、日ごろから基礎体温のデータをとっておくことをおすすめします。
下腹部の痛みをともなう女性特有の病気
PMSの下腹部痛と勘違いされることのある女性特有の病気には、「子宮内膜症」、「子宮筋腫」、「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」などがあります。これらは、病院を受診して血液検査やエコー検査で調べることができます。
まとめ
生理前の下腹部の張りは、女性ホルモンの「プロゲステロン」の作用が関係していました。
そして、下腹部の痛みは「プロスタグランジン」というホルモンが月経を体外に出すために子宮を収縮させることから起こるとされます。(プロスタグランジンは生理中も分泌されます)
生理前の体は、女性ホルモンの作用でさまざまな不調が起こりやすいデリケートな時期です。特に、つらい下腹部痛は、日常生活に影響が出ることも少なくありません。
しかし、普段から基礎体温のデータをとっておくと、早めにPMSの対策ができるうえに、不要な薬の服用を避けて、妊娠や病気の場合は発見が早くなります。体のサインを見逃さないためにも、普段から自分の体の状態を知ることを心がけておくことが大切です。
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