一口に便秘といっても、原因や症状に個人差があります。そのため、「私ってもしかして便秘?」という、判断に迷う人も多いのではないでしょうか。
中には1週間も排便がないという人もいるし、まだ大丈夫と思っていたら、便秘がひどくなったということも珍しくありません。
ここでは、便秘の判断基準と原因によって違う便秘の種類について、まとめてみました。すぐに始められる便秘解消法もあわせてチェックしてください。
そもそも便秘とはどんな状態をいうの?
便秘とは、排便の回数が少なく、たとえ排便があっても残便感が残り、お腹がスッキリしない状態のことをいいます。さらに便秘の症状を詳しく見てみると、次のような特徴があります。
(1)排便の回数が減ってくる
排便回数は、体質や食事の量が関係するため個人差はありますが、一般的には「週に3回未満が便秘の目安」になります。
正常な排便回数は、1日2~3回、または2~3日に1回でも残便感がなくスッキリでれば便秘ではないとされます。
(2)スムーズな排便ができず残便感がある
便意を感じてトイレで座っても、なかなか便が出ないうえに、やっと排便しても残便感でまだお腹に便が残っていると感じるようであれば、便秘といえます。
(3)下腹が張る
便秘になると、下腹が張って痛みを感じる腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)の症状が現れる人も多いようです。
お腹の張りは、排便回数が減ることで大腸に便がたまることで起こるといわれています。
(4)コロコロした便が出る
便秘になると、硬くてコロコロした便が少量出るという症状も多く見られます。
(5)頭痛や肩こりなどの不快症状
便秘では、一見関係ないと思われるような、頭痛、肩こり、胃痛、めまいなどの不快症状を引き起こすことがあります。
これらの症状は、自律神経の乱れや、たまった便から発せられる有害物質などの影響が考えられます。
便秘には代表的な3タイプがある
便秘は、大きく分けると消化器官の病気で起こる「器質性(きしつせい)便秘」と、生活習慣が影響する「機能性(きのうせい)便秘」の2種類があります。
便秘全体のほとんどが機能性便秘といわれますが、機能性便秘はさらに原因によって次の3種類に分かれます。
弛緩性(しかんせい)便秘
弛緩性便秘は、日本人の便秘でもっとも多いタイプの便秘です。
一般的に便秘をさすときは、弛緩性便秘のことをいいます。弛緩性便秘の主な原因は、大腸の筋肉がゆるくなることで、大腸が収縮をして便を運ぶ蠕動(ぜんどう)運動が弱まり、便を押し出す力が足らなくなっていることです。
弛緩性便秘は筋力の弱い、女性や高齢者での発症が多く、男性でも運動不足が続くと起こります。
関連記事 日本人にもっとも多い、弛緩(しかん)性便秘とはどんなもの?原因と解消法を解説
痙攣性(けいれんせい)便秘
痙攣性便秘とは、自律神経が乱れることにより、蠕動運動が正常に行えず、大腸が痙攣した状態になることで便秘と下痢を繰り返す便秘です。痙攣性便秘の発症には、ストレスが大きく関係しています。
直腸性(ちょくちょうせい)便秘
直腸性便秘とは、肛門手前の直腸まで便が運ばれてきているにもかかわらず、便意を感じにくく排便が困難となり、直腸に便がたまってしまうタイプの便秘です。
直腸性便秘になりやすいのは、普段から便意があってもトイレを我慢することが多い人や、寝たきりの高齢者、浣腸を繰り返すことで直腸の神経の働きが低下している人などに起こりやすいといわれています。
関連記事 トイレを我慢することが多い人は要注意!直腸性便秘の原因と解消法を解説
便秘を解消するために始めたい5つの習慣
便秘を解消するためには、腸の働きを助ける生活習慣と、規則的な排便リズムを整えることが重要です。
すぐにできるセルフケアとして、次のような生活習慣を始めてみましょう。
外出前の排便習慣をつける
便秘の改善には、排便のタイミングを逃さないことがポイントです。
特に女性は外出先での排便を我慢する人が多いため、普段から自宅でトイレを済ませておく習慣をもつことをおすすめします。
腸が活発になるのは朝食後ですので、この時間に余裕をもってトイレに入るよう、早寝早起きを心がけ、寝起きにコップ1杯の水を飲んで腸を活性化しておきましょう。
運動の習慣をもつ
スムーズな排便には、体の筋力が欠かせません。女性や高齢者に多い弛緩性便秘も筋力の低下が主な原因であるため、便秘解消のためには意識して運動の習慣を作ることが大切です。
運動の方法は、体に負担がかからないウォーキングなどがおすすめです。
ストレスをためない
便秘と下痢を繰り返す痙攣性便秘の人は、ストレスをためない工夫が重要です。
ストレスを感じやすい人は、趣味に集中したり、親しい人とおしゃべりしたりする時間を作るようにして、ストレスを発散していきましょう。
乳酸菌・ビフィズス菌を多く摂る
乳酸菌やビフィズス菌は、腸の働きを整える善玉菌の仲間です。
便秘の人は腸内環境が乱れているため、乳酸菌やビフィズス菌を積極的に摂取することが、便秘解消につながります。
食物繊維の多い食材を食べる
便秘を解消するためには、食物繊維の含まれる食材を食べることもポイントです。
食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があり、次のような特徴と作用があります。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、かさを増やして腸まで届き蠕動運動をサポートするため、運動不足やダイエットが原因の便秘解消に役立ちます。不溶性食物繊維は、きのこ類、ナッツ類、豆類などの食材から摂取することができます。
ただし、ストレスが原因の痙攣性便秘の人が不溶性食物繊維を食べ過ぎると、大腸に刺激をあたえて逆効果になるため注意してください。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、善玉菌の餌となり腸内環境の改善をサポートしてくれます。また、水溶性食物繊維を食べることで便が軟らかくなるため、便が硬くなり排便が困難になっている人におすすめです。
水溶性食物繊維は、海藻類、コンニャク、オクラ、なめこなどに含まれています。
激しい腹痛や血便が出るときは医師に相談を
便秘には胃、小腸、大腸などの消化器官に発生した病気が原因で起こる器質性便秘もあります。
器質性便秘では、命にかかわる大病が隠されている可能性もありますので、便秘の他に、激しい腹痛、嘔吐、血便などの症状があるときは、できるだけ早く病院を受診して検査を受けることをおすすめします。
まとめ
今回は便秘の見分け方と便秘の種類についてご紹介してきました。便秘は単に便が出ないだけでなく、さまざまな体調不良の原因になりますので注意が必要です。
私がケアワーカーとして勤めていたときの実感としても、便秘は体調不良の重要なカギをにぎっていました。排便の状態が気になる人は、生活習慣の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。
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